イベント
2025年5月28日
子ども読書の日記念「おおきなおはなし会」を開催しました!
みなさんこんにちは。久喜図書館の子ども読書推進担当です。
新緑がまぶしい季節になりましたね。
埼玉県立久喜図書館では、4月26日(土)に「おおきなおはなし会」を開催しました。
「子ども読書の日」を記念して行われる、1年に一度のスペシャルなおはなし会です。
当日は424名の方々にご参加いただきました。例年以上にたくさんの方にお越しいただき、うれしい限りでした。
ここでは、「おおきなおはなし会」の様子をお知らせします。
↑「おおきなおはなし会」会場入り口のシロクマ
↑にぎわう会場
今回のおおきなおはなし会は、午後から「おはなしのじかん」「かがくのじかん」「おんがくのじかん」の3部構成で行いました。
「おはなしのじかん」では、ボランティアグループ「トムの会」のみなさんと県立久喜図書館職員で、大型絵本や紙芝居、おはなしを披露したり、会場のみなさんで手遊びを楽しんだりしました。
↑おはなしのじかん・県立久喜図書館職員による手遊び
↑おはなしのじかん・ボランティアグループ「トムの会」さんによる大型絵本
「かがくのじかん」では、埼玉県立久喜高校JRC部(Junior Red Cross=青少年赤十字)のみなさんが科学絵本の読み聞かせをしたり、実際に実験を行ったりしました。いろいろなものを水に入れ、浮かぶか沈むかを調べる実験では、大根やピーマン、ゆで卵と生卵などを水に入れるのを子どもたちに手伝ってもらい、大いに盛り上がりました。
↑かがくのじかん・実験
↑かがくのじかん・埼玉県立久喜高校JRC部のみなさんによる手遊び
「おんがくのじかん」は、音楽ユニット「たまごさんど」のお二人がオカリナやギター、三線、ウクレレ、オーシャンドラムなど、たくさんの楽器で演奏してくださいました。「さんぽ」や「となりのトトロ」、「パプリカ」など、知っている曲はみんなで口ずさみながら、楽しみました。
↑おんがくのじかん・たまごさんどさんによる演奏
↑会場ステージのピアノの様子。絵本に登場するぬいぐるみがずらり。
ちいさい子から大人まで、たくさんの方に楽しんでいただくことができました。
来場者アンケートでは、
「いろいろなジャンルのおはなしや音楽がきけて楽しかったです。」
「子供が楽しそうに参加していたので、また参加したいです。」
との声をいただきました。
トムの会さん、久喜高校JRC部のみなさん、たまごさんどさん、そしてご来館くださったみなさん、ありがとうございました!
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この「おおきなおはなし会」の様子が、ケーブルテレビ久喜にて特集されました。
ケーブルテレビ久喜のYouTubeチャンネル【ケーブルテレビ久喜「きゅーちゃんねる」】にて見ることができます。
く・わ・し・く 彩たま2025年4月28日号「子ども読書の日記念 おおきなおはなし会」
ぜひ、映像でも「おおきなおはなし会」を楽しんでください。
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久喜図書館子ども図書室では、以下の日程でおはなし会を行っています。
【大きい子向き】
〇おはなし会:第1~3・5土曜日の14時から14時30分
絵本の読み聞かせ・紙芝居・素話 など
【ちいさい子向き】
〇親子ふれあい講座:毎月第2水曜日の11時から11時20分
手遊び・絵本の読み聞かせ など
〇ちいさい子むきおはなし会:第4土曜日の14時から14時30分
手遊び・絵本の読み聞かせ など
詳しくはこちらから。
いつものおはなし会にもぜひお越しください。
いっしょに楽しいひとときを過ごしましょう。
お待ちしています!
2025年3月31日
令和6年度外国語資料普及事業「知ろう!語ろう!ベトナム文学の魅力」を開催しました(県立熊谷図書館)
資料展「Sách tiếng Việt- 本で訪れるベトナムの世界 -」
こんにちは。埼玉県立熊谷図書館の多文化サービス担当です。
皆さまは、「ベトナム文学」を読んだことはありますか?
熊谷図書館では、令和7年1月~3月にかけてベトナムに関する3つの事業を行いました。
今回のブログでは、それぞれの事業の様子をご紹介するとともに、時代ごとにいくつかベトナムの有名な文学作品をピックアップして、ご紹介します。
ひとつめの事業は、熊谷図書館の2階ロビーで開催した資料展「Sách tiếng Việt- 本で訪れるベトナムの世界 -」です。
当館ではベトナム語の資料を約300冊所蔵しています。
今回の資料展では、その中からベトナム文学作品を各時代ごとに展示したほか、ベトナム語に翻訳された日本文学や、ベトナムの歴史や文化に関する資料なども展示しました。
日本語の資料もありますので、ベトナムにご興味のある方は、ぜひ展示リストから読んでみたい本を探してみてください。
資料展「Sách tiếng Việt- 本で訪れるベトナムの世界 -」
2025年 1月 7日(火) ~ 2025年 3月 2日(日)
埼玉県立熊谷図書館 2階ロビー
- 資料展「Sách tiếng Việt- 本で訪れるベトナムの世界 -」チラシ(PDF:1519KB).pdf
- 資料展「Sách tiếng Việt- 本で訪れるベトナムの世界 -」資料展示リスト (PDF1058 KB).pdf
- 資料展「Sách tiếng Việt- 本で訪れるベトナムの世界 -」紹介ページ
令和6年度外国語資料普及事業「知ろう!語ろう!ベトナム文学の魅力」
展示と併せて令和7年2月9日(日)には、講座「知ろう!語ろう!ベトナム文学の魅力」を開催しました。
この講座では、東京大学附属図書館アジア研究図書館から田中あき氏をお招きして、フランス植民地期以降のベトナム文学について、推薦本を例示しながら、特徴や時代背景・楽しみ方などを紹介いただきました。
令和6年度外国語資料普及事業「知ろう!語ろう!ベトナム文学の魅力」
2025年2月9日(日)13:30~16:00
埼玉県立熊谷図書館 1階鑑賞室
講座の後には、参加者同士でおすすめのベトナム語図書について語り合うワークショップも開催しました。
ワークショップでは、参加者の方々が読んでみたい本や、おすすめの本について和気あいあいと話されていました。
ワークショップで話題に上がった本を以下に数冊ご紹介します。
・702.231/ヘト『ベトナム近代美術史』(二村淳子著 原書房 2021)資料コード:103370078
・523.231/ケン『建築のハノイ』(増田彰久写真 白揚社 2006)資料コード:101736742
・929.373/クエ504『つぶらな瞳』(グエン・ニャット・アィン 著 てらいんく 2004)資料コード:101489458
・『神々の時代』(ホアン・ミン・トゥオン著 東京外国語大学出版会 2016)※県立図書館未所蔵
県立図書館に所蔵のない本もありますが、ご興味のある方はぜひ読んでみてください。
また、講師の田中先生の翻訳されたベトナム文学は以下のリンクから読むことができます。
〇遠きひとの声 / カイ・フン:https://sites.google.com/view/sealit/11%E5%8F%B7
〇文学談義(一幕劇) / カイ・フン:https://sites.google.com/view/sealit/12%E5%8F%B7
〇省行政長官 / カイ・フン :https://sites.google.com/view/sealit/16%E5%8F%B7
ベトナム文学の代表作
今回のブログでは、行った展示の中から時代ごとにいくつかベトナムの有名な文学作品をピックアップして、ご紹介します。
- 阮朝(げんちょう)期
阮朝は、1802年から1945年にかけて存在したベトナム最後の王朝です。
この時代を代表するベトナムの文学作品に、19世紀前半に阮朝の文人グエン・ズーが中国の小説『金雲翹伝』を翻案し、チュノム(漢字をもとにしてつくられたベトナム独自の文字)で記した長編叙事詩『金雲翹』があります。
チュノム文学の最高峰と考えられ、ベトナムでは国民的文学作品として広く知られています。
・VIE929.37/Ngd『Truyện Kiều』(Nguyễn Du/[boi] Nhà xuất bản Văn học 2016)資料コード:103228185(日本語訳書名:金雲翹伝 著者名:グエン・ズー) - フランス植民地期
阮朝はフランスの侵攻を受け、1887年から1945年までフランスの植民地となっていました。
この時代で有名な作家は、ヴー・チョン・フンやタック・ラム、ナム・カオ、マーヴァン・カーンなどです。
この時代の文学は、フランスの影響を受けている作品も多くあります。
展示では以下の資料を紹介しています。
・VIE929.373/Vup『Số Đỏ』(Vũ Trọng Phụng/[boi] Nhà xuất bản Văn học 2018)資料コード:103228052(日本語訳書名:幸運 著者名:ヴー・チョン・フン)
ヴー・チョン・フンは20世紀初頭の有名なベトナム人作家兼ジャーナリストです。
この『幸運』という作品は、ヴー・チョン・フンの代表作で、フランスの影響により東西の文化が混在するベトナム社会をユーモラスに描いた小説です。
・VIE929.37/Thl『Hà Nội băm sáu phố phường』(Thạch Lam/[boi] Nhà xuất bản Hội nhà văn 2019)資料コード:103228136(日本語訳書名:ハノイ36区通り 著者名:タック・ラム)
タック・ラムは、20世紀初頭の有名なベトナム人作家兼評論家です。
情感豊かな短編作品で高く評価されています。
この『ハノイ36区通り』という作品は、ハノイの食文化や社会風俗を紹介したエッセイで、講座でも紹介されていました。
・VIE929.37/Nac『Sống mòn』(Nam Cao/[boi] Nhà xuất bản Văn học 2018)資料コード:103228144(日本語訳書名:生き疲れて 著者名:ナム・カオ)
・VIE929.37/Nac『Chí Phèo』Tập Truyện Ngắn Nam Cao/[boi] Nhà xuất bản Văn học 2023)資料コード:103444527(日本語訳書名:チー・フェオ 著者名:ナム・カオ)
ナム・カオは、20世紀初頭の有名なベトナム人作家です。
家庭教師をしながら知識人や農民の生活に取材した短編などを書きました。
今回の展示では、自伝的長編『生き疲れて』のベトナム語版を紹介しました。
また3階の外国語資料コーナーには、ベトナムの『阿Q正伝』と呼ばれる短編『チー・フェオ』のベトナム語版もあります。
・929.37/マ『夏の雨』(マー・ヴァン・カーン/著,加藤栄/訳 新宿書房 1992)資料コード:115361198
マーヴァン・カーンは、20世紀のベトナム人女性作家です。
ハノイを舞台に社会の現実を鋭く捉えた作品を書き続けています。
代表作の『夏の雨』は、大洪水とそれに伴う堤防の決壊をテーマに、戦後ベトナム社会の抱える様々な問題を浮き彫りにした作品です。 - ベトナム戦争期
1964年頃から1975年頃にかけて、社会主義陣営の北ベトナムと資本主義陣営の南ベトナムの間でベトナム戦争が起こりました。
戦争期を代表する作家バオ・ニンは、代表作『戦争の悲しみ』でベトナム戦争での従軍体験を元に、戦争のもたらす悲しみを描き、ヴェトナム作家協会賞受賞を受賞しています。
今回の展示では、『戦争の悲しみ』を日本語で、またその改題版『愛は戦いの彼方へ』を日本語とベトナム語で展示しています。
・929.373/ハオ501『戦争の悲しみ』(バオ・ニン/著,井川一久/訳 めるくまーる 1997)資料コード:100029537
・929.373/ハオ501『愛は戦いの彼方へ』(バオ・ニン/著,大川均/訳 遊タイム出版 1999)資料コード:100439181
・VIE929.373/Ban『Nỗi buồn chiến tranh』(Bảo Ninh/[bởi] Nhà xuất bản tre 2014)資料コード:102629623(日本語訳書名:愛は戦いの彼方へ 著者名:バオ・ニン) - ドイモイ以降
1986年12月からドイモイと呼ばれる市場経済導入を中心とした経済再建政策が進められ、ベトナムは急激な経済成長をとげます。
この時期に活躍した代表的な作家には、グエン・フイ・ティエップやズオン・トゥー・フォン、グエン・ティ・トゥー・フエなどがいます。
・VIE929.37/Ngt『Tướng về hưu』(Nguyễn Huy Thiệp/[bởi] Nhà xuất bản Văn hóa Thông 2011)資料コード:102505765(著者名:グエン・フイ・ティエップ)
・VIE929.37/Ngt『Truyện ngắn nguyễn huy thiệp』(Nguyễn Huy Thiệp/[bởi] Nhà xuất bản Văn học 2021)資料コード:103444691(著者名:グエン・フイ・ティエップ)
グエン・フイ・ティエップは、現代ベトナム文学の著名な作家です。
特に短編が評価されており、グエン・フイ・ティエップの短編は世界中の多くの国で翻訳、出版され、多くの賞を受賞しています。
展示ではグエン・フイ・ティエップの2つの短編集のベトナム語版を紹介しています。
・929.3/キ『虚構の楽園』(ズオン・トゥー・フオン/著,加藤栄/訳 段々社 1994)資料コード:116999830
ズオン・トゥー・フオンは、現代ベトナム文学の著名な女性作家です。
ベトナム戦争後詩人としてデビューし、その後小説家に転じました。
ベトナム共産党などを告発した内容のシナリオが検閲にかかり一時期は執筆を制限されていたこともありました。
『虚構の楽園』は、触れずらいネガティブなテーマとされていた1950年代の土地改革を正面から見すえた作品です。
日常生活や、食べ物、自然についても細かい描写があり、当時のベトナム様子を垣間見ることができます。
・929.373/クエ501『魔術師』(グエン・ティ・トゥー・フエ/著,加藤栄/訳 紀伊国屋書店 1997)資料コード:100050152
グエン・ティ・トゥー・フエは、現代ベトナム文学の著名な女性作家です。
日常生活や女性の暗い情念を赤裸々に描いた作品が高く評価されいます。
『魔術師』は、代表的短篇5篇を収めた短編集です。 - 2000年以降
近年人気のある作家は、グエン・ニャット・アンです。
ベトナムではグエン・ニャット・アンの作品がしばしば映画化され、いずれも人気となっています。
・929.373/クエ504『幼い頃に戻る切符をください』(グエン・ニャット・アィン/著,伊藤 宏美/訳,加藤 栄/監訳 大同生命国際文化基金 2020)資料コード:103412037
・VIE929.37/Nha『Cho tôi xin một vé đi tuối thơ』(Nguyễn Nhật Ánh/bởi Nhà xuất bản trẻ 2014)資料コード:103227641(日本語訳書名:幼い頃に戻る切符をください 著者名:グエン・ニャット・アン)
グエン・ニャット・アンは、この短編集の表題作の『幼い頃に戻る切符をください』で2010年にアセアン文学賞を受賞しました。
この表題作は、男性が子供時代の仲良し4人組の思い出を綴った作品です。
・929.37/Nga『Tôi thấy hoa vàng trên cỏ xanh』(Nguyễn Nhật Ánh/[bởi] Nhà xuất bản tre 2011)資料コード:102505740(日本語訳書名:草原に黄色い花を見つける 著者名:グエン・ニャット・アン))
ベトナムの貧しい村に生きる兄弟と、幼なじみの少女の物語『草原に黄色い花を見つける』の原作です。
この作品は映画化され、2017年に日本でも上映されています。
今回の展示では、展示していませんが、とても有名な作品です。
当館ではベトナム語の原作のみ所蔵しています。
ベトナムは、その地理的条件や歴史により、多様な文化と豊かな自然が融合した、独自の文化を育んできました。
ベトナム文学からは、そのようなベトナムの魅力と奥深さを知ることができます。
名作映画観賞会「ベトナムの風に吹かれて」
資料展、講座にちなみ、令和7年2月7日(金)の映画会では、映画「ベトナムの風に吹かれて」を上映しました。
日本語教師としてベトナムに住んでいた女性が、認知症の母をベトナムに連れて行く物語です。
当日は、たくさんの方がご来館くださり鑑賞室は満員になりました。
この映画は、久喜図書館の所蔵ですがDVDを借りることもできます。(資料コード:740037791)
2015年に公開されましたが、ベトナムの風土やほがらかな雰囲気が感じられる映画です。
ベトナムにご興味のある方はぜひ視聴してみてください。
名作映画観賞会「ベトナムの風に吹かれて」
令和7年2月7日(金) 14:00~16:00
埼玉県立熊谷図書館 1階鑑賞室
映画会 名作映画鑑賞会「ベトナムの風に吹かれて」チラシ
2025年2月5日
令和6年度文化講座「火への対抗と信仰の民俗」を開催しました!
こんにちは。熊谷図書館の人文・社会科学資料担当です。
2024年11月30日(土曜日)に、熊谷図書館で文化講座を開催しました。
昨年度は、県立歴史と民俗の博物館共催講座ということで、「出張講座 あなたの街にも『れきみん埼玉』」を文化講座に代えて実施しました。
その時に、「もっと学芸員さんのお話を聞きたい」をいうお声をいただいており、今年の文化講座も学芸員さんをお招きできないか?と担当者は考えて、今回の講座を企画することになりました。
ところで、文化講座と同時期に行われていた資料展「火への畏怖と親しみ ―火消の歴史と火の民俗をたどる―」について、みなさま、ご覧いただけたでしょうか。
実は今回、資料展のテーマが先行して固まりつつありました。そのため、ざっくりと「火」を文化講座のテーマにするという方向性が見えてきました。
当館では歴史・哲学分野の他に、社会科学・産業分野の資料も取り揃えています。この「火」について、図書館資料の分類でいうところの2類(歴史)の観点よりも、3類(社会科学)の観点、中でもとりわけ「民俗学」というアプローチを出来たらと思いました。そこで民俗学がご専門である、県立歴史と民俗の博物館の戸邉優美(とべ ゆみ)主任学芸員に講師をお願いしました。
講座は「第1部 火災に立ち向かう人びと」「第2部 火をめぐる信仰と祭り」の2部構成で、それぞれ埼玉県内の事例や、県立歴史と民俗の博物館の収蔵資料を交えてお話いただきました。簡単にではありますが、講座の内容を一部ご紹介したいと思います。
「第1部 火災に立ち向かう人びと」
県立歴史と民俗の博物館の常設展第10室(民俗展示室)では、「火とくらし」をテーマとしています。その展示内容に関連して、江戸時代の頃は都市で火災が発生するとあっという間に燃え広がり、大きな被害につながること、火災の被害を防ぐための工夫にはどのようなものがあったのか、などのお話をいただきました。
蔵造りの建物は耐火性に優れ、県内では川越市の蔵造りの街並みや、行田市の足袋蔵が有名です。都市ではお店と居住空間を兼ね備えた店蔵というものが多くみられるということで、飯能市の指定有形文化財を例に、図面や写真もたくさん用いて解説をしていただきました!
それから、当館の資料展にも絡めて、火災が起きた時の消火に関するお話もお伺いしました。当時は延焼を防ぐために周りの建物を壊す破壊消火が行われました。火消用具には鳶口(とびぐち)や鋸(のこぎり)といった、消防士というより大工さんが使うような道具があったということです。現代のような水を使った消火のための用具もありましたが、水の補給が難しく放水距離も短いということで、当時の主力にはならなかったようです......。
「第2部 火をめぐる信仰と祭り」
第2部は信仰や習俗、祭りや民俗行事についてのお話です。
人びとは火災を恐れて、台所の火を扱うところに火伏せの神を祀りました。火伏せの神は、同時に家の守り神や農作物の豊穣をもたらすものといった性格を持ち合わせていたそうです。
他にも、火には悪いものを祓う力や浄化の力があると信じられてきました。そのことから、村廻りを行って村の境界の外側へ災厄を追い払う行事である「虫追い」に火が用いられました。戸邉主任学芸員が調査に携わった、県内の様々な無形民俗文化財の事例を交えながらお話しいただきました。人びとは火を恐れながらも、大きな力・清めの力があるものだと捉えていたことが分かります。
そして、後半では映像資料を上映しました。『埼玉県秩父郡小鹿野町橋詰のドウロク神焼き』という資料で、現在も小正月に行われている小鹿野町の民俗行事です。地域の方々が集まり、河原でドウロク神小屋を建てていきます。夕方になると、2体のドウロク神と称する自然石を小屋の中に納め点火します。天に届きそうなほど炎が高く燃え上がる様子は、映像とはいえ迫力があります!
この行事が地域の火難除けとなるとともに、ドウロク神焼きの火で煙草を吸ったり、その火で焦がした「ワキザシ」という疑似刀を玄関に飾ったりすることで、魔除け・疫病除けの意味も併せ持つのだそうです。
2部構成の講座に映像上映と、盛りだくさんの内容で時間があっという間に過ぎ去りました。
わずかではありますが質疑応答の時間も設けさせていただき、鋭い着眼点からの質問に丁寧にお答えいただきました。
講座終了後、まだ聞き足りないという熱心な参加者の方がいらっしゃって、講師とお話される姿も印象的でした。また、参加者のアンケートからは「興味深いお話を聞くことができて面白かった」「画像や映像があってわかりやすかった」などのあたたかいお言葉をいただきました。
講師の戸邉主任学芸員、そしてご参加くださいました皆様、ありがとうございました。
関連資料展の資料リストはウェブサイトからも見ていただくことが可能です。資料展は終了しましたが、貸出できる資料もありますので、ぜひご覧ください。
来年度の文化講座もどうぞお楽しみに!
2025年2月4日
いよいよ終盤!新規音訳者養成講座
みなさんこんにちは。久喜図書館バリアフリー読書推進担当です。
今回は久喜図書館で開催している、新規音訳者養成講座の様子を紹介します。
一昨年の2023年9月に始まった、長い長いこの講座もいよいよ終盤です。
(これまでの講座の様子は、埼玉県立図書館公式Xを「#新規音訳者養成講座」で検索してみてください。)
講座が始まったころは音訳初心者だった受講生たちも、徐々に慣れてきたようで、すでに対面朗読にチャレンジしている方が何人もいらっしゃいます。
去年2024年の秋ごろからは、録音図書製作実習も始まっています。受講生を4つのグループに分け、グループごとに課題図書を割り当て、実際に一人一冊録音図書を作るというものです。今回製作している図書は、埼玉県内のお寺や神社に関する専門書で、読み方の難しい漢字や写真が多数掲載されています。録音図書を製作する際は、図書から読み取れる情報を、全て、正確に音訳する必要があります。そのため、漢字の読みを調べる、図や写真の説明文を考えるなどなど、図書の音訳にはやることがたくさんあるのです。
受講者たちはこれまでの講座で学んだことを活かし、 グループのメンバー同士切磋琢磨しあいながら、みなさん録音図書作りに励んでいます。
3月には各自が製作した録音図書を聞き比べ、各グループごとの優秀作品を選ぶ「音訳コンテスト」が行われます。優秀作品に選ばれたものは、久喜図書館の録音図書として受け入れ、図書館の蔵書の一つとなり、やがては全国の視覚障害者等の方々に利用されることになります。
録音図書製作は苦労も多いと思いますが、きっとそれを超えるだけのやりがいがあるはずです。
担当職員一同、どんな録音図書が聞けるのかとても楽しみにしています。
2024年12月13日
文化講座「つなぐ、彩る ~スピカデザインの現場から~」を開催しました
こんにちは。久喜図書館 芸術・文学資料担当です。
11月9日(土曜日)に久喜図書館1階視聴覚ホールで、文化講座「つなぐ、彩る ~スピカデザインの現場から~」を開催しました。
今回の文化講座では、朝霞市のデザイン事務所「スピカデザイン」で代表を務める大下修央(おおした・のぶお)氏を講師としてお迎えしました。
講座は3部構成で、それぞれ「デザインの基礎」、「デザイナーのお仕事紹介」、「コンテンツ別デザイン色々」についてお話いただきました。
第1部「デザインの基礎」では、寒色や暖色などの色使いがどのような印象を与えるのか、人の視線を考慮するレイアウト等、デザインに関する基礎的な知識についてお話いただきました。
続いての第2部では、「デザイナーのお仕事紹介」として、デザイナーがどのような工程で企画やデザインを進めていくのか、実際に大下氏が手掛けた名刺の例をご紹介してくださりました。
色選びや紙の素材、細かなフォントの変更によりどう印象が変わるのか、並べられた名刺の画像に注目が集まりました。
第3部「コンテンツ別デザイン色々」では、ホームページやボードゲームなど、大下氏がデザインを手掛けるコンテンツから、選挙ポスターや薬袋の事例まで、ターゲットや目的を考慮する重要性についてお話いただきました。
質疑応答では、次々に挙がる熱心な参加者からの質問に、丁寧にお答えいただきました。
講座終了後には、当館司書からデザインの調べ方について10分ほどご案内をいたしました。
調べ方案内「デザインについて調べる」は、久喜図書館内で配布中のほか、ウェブサイトでも公開しています。2階公開図書室で開催していた資料展「芽生える創造 明日を彩るデザイン」のリストと併せて、デザインに関する調査にお役立てください。
調べ方案内 Milestone(久喜図書館)
【久喜】資料展「芽生える創造 明日を彩るデザイン」
参加者の方からは「デザイナーという職業に親しみを感じることが出来た」「仕事の進め方が聞いていて面白かった」などの感想をいただきました。
大下様、そしてご来場くださいました参加者の皆さま、ありがとうございました。
なお、今回の講座の配布物につきまして、期間限定で公開いたします。
下記イベントページに掲載しておりますので、講座に参加できなかった方もぜひご覧ください。